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鶴田 純久の章 お話

手挫ねによって10cmから20cm前後の長さに馬を小さく象った土製品。
奈良時代から平安時代にかけて雨乞や日乞の祭に使ったものです。
赤褐色の土師質と堅い焼き上がりを示す須恵質のものとがあって、それぞれ土馬および陶馬と呼んで区別することがあります。
総称して土製馬ともいいます。
陶馬には胴体を中空につくったものがあります。
写実的なものから人の形に近いものまで馬形そのものの表現が多様であるうえに、馬形に粘土を貼り付け部分的に刻線を用いて、鞍・鐙・面繋・手綱・尻繋などの馬具を表した飾馬から、馬具など何も着装していない裸馬まで、細部の表現にも繁簡があります。
土馬の方が陶馬よりも一般に簡略であります。
福島県以西に広く分布するが特に奈良県に上馬の出土例が多いようです。
陶馬の製作所である須恵器の窯跡から出土する場合を除くと、古墳の封土中や祭祀遺跡から、あるいは単独で発見されることがありますが、出土状態が不明確なことが多いようです。
平城宮跡では井戸や溝の跡から五十点以上も発見されています。
なおほぼ同じ時期のもので熊本県・宮崎県方面にある土馬には、人物小像と組み合わせて火葬墓の副葬品として使用されたものの例が注意されています。
(水野清一・小林行雄編『図解考古学辞典』大場磐雄「上代馬形遺物再考」『国学院雑誌』六七ノ一)

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