蓋置の一種で、七種の蓋置のうちで最も珍重されます。
略して単に「ほや」ともいい、穂屋・火舎・宝屋・火家などいろいろの字を当てます。
『利休伝書』には「石火香炉といひ給ひ候」とあるようで、さらに香炉蓋置ともあります。
火屋とは香炉・手炉・火入・ランプなどの上におおう蓋のことで、この蓋置に限って火屋があるのでこの名があります。
形は台足のある円形の坏形で、その口縁に五ないし七つの小爪が出ていて、火屋が滑らないように支えています。
この台を裏返して、そこへ釜の蓋を置くのであります。
火屋は本来古銅器でありますが、金紫銅もあるようで、蓋に精巧な摘まみのあるもの・彫刻・透し・地模様など各種各様であります。
また楽焼でもつくられています。
(佐々木三味『ふだ置』)