志野 山水文 矢筈口 水指

志野 山水文 矢筈口 水指
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
志野 山水文 矢筈口 水指
志野 山水文 矢筈口 水指

Shino notch-shaped water jar with landscape design
Height 16.8cm Kosetsu Art Museum
高さ16.8cm 口径16.0cm 底径17.1cm
 香雪美術館
 志野の水指のなかでも、まれに見ます火色の鮮やかな作品であります。
 やや撫肩の口部はふっくらと張った胴に連なり、底は平底であります。
 胴には縦横に箟目がほどこされ、ことに胴裾の二条の箟彫りはあたかも流水のような景となっています。川に見立てた彫りの上に低い山が描かれ、大きな木があらわされ、その奔放な絵付は数多い志野のなかでもことに妙味溢れるものであります。釉膚はよく溶けていますが、釉がかりの濃淡に応じて赤い火色が随所にあらわれています。裾回りの土膚はほんのりと焦げ、志野特有の味わい深い土味であります。これも共蓋で焼いたらしく口回りに目跡が残っています。大萱の牟田洞窯か窯下窯の作とされていますが、同じ矢筈口形式でもこのような撫肩のものはきわめて少なく、ほぼ同形のものが名古屋の数奇者に一点蔵され、昭和45年の光悦会に用いられました。

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