Flower vase with handle across mouth. Height30.0cm
総高30.0cm 身高25.5cm 口径10.6cm 底径13.4cm
裾張りぎみに厚手にずんぐりと成形した花入の口に手をつけています。口縁はまるく端反りに、底は平底で目跡が四つ残っています。胴に八本の横筋が無造作にめぐらされ、正面に厚くかかった灰釉は紫褐色を呈し、裾まわりに草緑色のビードロ釉があらわれています。背面は赤く焼き締まり、裾には斜めに黒い焦げが生じている、伊賀花入としては他に例を見ない作例で、一説に江戸中期の作とされていますが、やはり桃山期のものでしょう。背面に紋付穴を堪めた跡があります。
万図和尚い占付で。「伊賀焼花瓶手付」とあり、鴻池家に伝来したもので、中興名物になっています。
伊賀手付花入 いがてつきはないれ
中興名物。
伊賀花入中唯一の手付であり、裾に向かってやや張る筒形のロに手が山形に渡され、胴には何条もの彫り箆が横にめぐらされて段をなしています。
これは利休が好んだ「瀬戸捻貫水指」(三六三頁下)とも結びつき、他の伊賀花入類が大半、藤堂家御用窯の作であるのに対し、この手付はそれ以前の作と考えられます。
釉は全体的に白っぽく、一面はほとんどが黒褐色の焦げに覆われています。
野武士の大将を想わせる豪快な作振りの中に、何とも茶味の漂う逸品です。
【付属物】箱―桐白木、書付万仭和尚筆
【伝来】 鴻池家
【寸法】 高さ:29.8 口径:10.0~10.7 胴径:13.5~14.0 底径:12.6~13.2 重さ:3030