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鶴田 純久の章 お話

中興名物。
金華山茶入、真如堂手。
銘は『夫木集』神祇伯顕中の大治三年(一回一八)8月広田社歌合月述懐の歌「鏡河かけ見る月に底澄みて沈むみくつのはつかしきかな」によります。
真如堂手中光沢一段と麗しく、本歌とほとんど異なるところのない茶入であります。
もと銀座年寄関善右衛門所持で。
1714年(正徳四)に同人閥所ののちしばらく消息を絶ちましたが、その後大阪竹屋某の蔵となりさらに同地上野家に入りました。
(『大正名器鑑』)

かがみがわ 鏡河

瀬戸金華山窯茶入、真如堂手。
中興名物。
その銘は『夫木集』の「大治三年八月、広田社歌合月述懐と題せる神祇伯顕仲の歌 鏡河かけ見る月に底澄みて沈むみくづのはずかしきかな」の歌を茶入の景に因んで遠州が付け、箱甲に「鏡河」(鏡を金、河を銀)の字形、裏に色紙で引歌が貼られています。
草間和楽筆の『茶器名物図彙』によると、関善左衛門所持とあり、この人は正徳四年に中村蔵之助らの事件で銀座年寄の一人として所になっており、当然所蔵の道具も売りに出され、いずれかへ処分されたものと考えられますが、その先は明らかでありません。
その後大阪竹屋某が所持し、さらに上野理一の有となりました。
茶入は口造りの捻り返しがほどよく、少し廂肩としきを呈し、肩はかっきりと衝き、胴はほとんどふくらまず、直下して腰のあたりでようやくすぼんでいます。
周りには黒飴釉が濃くかかり、全体に黒褐釉の中に柿金気釉がまざり合って景をなしています。
以下は金気の多い土が露われ、底は輪糸切となっています。
『古今名物類聚』 『麟鳳亀龍』『目利草』などの名物記をはじめ諸記録に記載されており、また外箱に平瀬露香が内容を詳しく記していることがゆかしく思われます。
【付属物】 蓋―二仕覆四、萌黄地花兎金襴・遠州緞子宮内間道・大燈金襴(図版右より)家―鉄刀木 内箱 桐黒掻合塗、金銀粉字形・書付小堀遠州筆、蓋裏貼紙書付同筆 外箱 桐春慶塗、銀粉字形・書付平瀬露香筆
【伝来】関善左衛門 大阪竹屋某―上野家
【寸法】 高さ:8.2 胴径:6.5

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