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鶴田 純久の章 お話

製品・窯道具などにみる簡単な標識のこと。
多数の工人の作品を共同の窯で焼成するため、各自の製品を区別する目的で付したもので、自己の作であることを主張しようとする後代の銘款とは目的を異にします。
伊部の窯印は古くて有名。
これらの窯印は松葉・井桁・丸・丁・十などの簡素なもので、瀬戸・伊賀その他の古い陶業地にもこれがあります。
高橋建の説によりますと、窯印に類似した記号は畿内の後期弥生式土器にもありますが、窯印ではないようです。
須恵器にも〇・×・松葉・井桁など窯印に近いものがあり、ヘラ記号と呼んでいます。
瀬戸系古窯址の発掘調査から他系の窯を類推しますと、作品に窯印を施すことはほぼ慶長(1596-1615)頃まで行われたようでありますが、以後は銘款に移行しました。
ただし窯道具に窯印を施すことは、共同焼成の登窯において現在でもなお行どわれています。

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