帰化朝鮮人。
名を娶といいます。
釜山に生まれ唐津に来たといいます。
また熊川の人で文禄・慶長の役（1592-8）後渡来したともいわれます。
椎ノ峯（佐賀県伊万里市南波多町府招）の中里茂兵衛に嫁しましたが、夫が早世したので一子茂右衛門を連れ1622年（元和八）鬼子嶽崩れの工を頼って長葉山に来ました。
時に五十六歳。
性は豪健ですこぶる陶技に熟達していました。
1629年（寛永六）一種の灰色焼を、1634年（同一一）さらに朱泥焼の逸品を製作するようになりました。
老年になるにつれますます壮健でよく子弟・工人を監督し、当時の三河内陶業を勃興させたといいます。
人々は彼女のことを高麗姐といいました。
1672年（寛文二一）没、百六歳。
同地中里家の祖であります。
（寺内信一）
