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鶴田 純久の章 お話

瀬戸焼の一種。
黒色の鉄釉が掛かった器で茶碗が多い(この茶碗は飯櫃と称する形が多く、腰に角があって底は平らである)。
あらかじめ窯内戸際に接近して置いておき適度の頃に引き出しますので、引き出し黒の名があります。
その製造は安土・桃山時代より始まり、作りは楽焼に似てしかも一種の趣があります。
『をはりの花』はこれを次の三種に分けます。
(一)地質は硬密で肉がやや薄く、概して継輸の作が多いようです。
器の全体(外面底部に地質が露出している)に光沢の深い黒釉を施したものです。
(二)地質がやや柔らかく肉もまたやや薄く、器の全体(外面底部に地質を露出している)に滑沢のある黒釉を施し、菊花の紋または桜花三鱗あるいは菱形様の紋を白く付した器。
(三)ほぼ志野に類していますが、地質が柔らかく、どれも指頭で挫造したゆえ烏帽子形あるいは沓形と呼ぶ異形の作が多いようです。
この器はその一部あるいは半身に枯淡な黒釉を厚く施し、これに草画の模様を描いた非常に雅致に富んだ器であります。
以上のうち(二)および(三)は黒織部のことであります。

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