Covered deep bowl with peony design, enamelled ware
Mouth diameter 22.7cm
Tokyo National Museum
高さ25.4cm 口径22.7cm 胴径25.8cm 底径12.1cm
東京国立博物館
寛文から延宝、元禄にかけて、有田ではこのような形式の蓋物がかなり生産されヨーロッパに輸出されていましましたが、それらが近年ヨーロッパからかなり請来されました。この蓋物はなかではもっとも傑出した優作であります。
牡丹を主題にした複雑な文様は、やはり当時の好みの一つでありましたらしく、壺や蓋物にも同様の意匠のものがあります。この蓋物は蓋、身ともに同じ文様が配され、裏面に片輪車文をあらわした幔幕が描かれています。文様の上下に大きく雲を配していますのが特色で、明代の古赤絵や染付にみる雲堂文の転化した意匠かもしれない。その雲にだみ塗りされた青の上絵具は濃く、いささか配色の優美さを損ってはいますが、牡丹の花や枝の赤、黄、緑は美しく、筆行きはのびのびとしており、文様も総体的に大まかな趣があります。素地はやや青味をおびた白磁胎で、内部に釉なだれがあらわれており、高台は不整の円形でかなり深く削り込まれています。おそらく寛文年間後期の作と推測され、いわゆる柿右衛門様式の初期的な作例であります。