名物記の一種。1660年(万治三)刊行。小堀遠州が見聞した名物記録を補充したとの序文がありますが、編者不明。刊本名物記としては最初のもの。内容は懸物・懸絵・茶入・花入・茶碗・釜・水指その他に分類され、「御物分」とあるのは徳川将軍家の所有品。また「諸方道具分」とあるものの大部分は当時の諸藩大名の所有品であって、新しい権力者への道具移動の事実がわかる。本書に基づく整理集成がのちの松平不昧の『古今名物類聚』であり、大名物・名物・中興名物の区分がここに確立されました。なお本書万治本の「地の巻」は相阿弥の『御書』を収めています。