釉薬原料 ゆうやくげんりょう

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鶴田 純久の章 お話

唐津焼における軸薬のはなし
使用原料としての「主材」としては長石質で釉石、弱右と称される耐火性が低い軟質の石類や陶土類および藁灰類で「溶剤」として土灰、松灰、樫灰、石灰石や貝灰などがあり「骨材」としては粘土類や共土などが主流で、「顔料」としては産地近郊の含鉄鉱物である黒錆、鬼板、黄土や赤土であります。
一部特殊な例として後期においては磁器用の呉須や胆磐、緑青の酸化銅系があげられます。
これらの原料操作で得られた釉薬の種類としては、最も多く焼造された①透明グループとして高光沢の「灰釉」光沢性の「土灰軸」「透明釉」。独特な色調を呈する②不透明グループとして「長石釉」「斑釉」同質の「藁灰釉」系。鉄分を色基(顔料、着色材)とした③鉄釉グループに「飴釉」「黄釉」「黒飴釉」「天日釉」「鉄砂」や「伊羅保」その他に、二種の重ね掛け、または掛け分けなどの技法による「朝鮮唐津」などがあります。
いずれも入手しやすい原材料を用いて調整した2~3成分系が主流であり、原料の選択として「主材」「骨材」と更に「顔料」まで兼ねた材料に「溶剤」の添加で各種の独特な軸調整がなされたと考えられます。
即ち、「主材」に対して「溶剤」の添加量次第で釉性状は連続的に変化し、例えば長石質主材の透明系では、白濁質の「長石和」から透明性の「土灰釉」高光沢の「灰軸」へと順次移行し、含鉄和においても同様にその変化相は大きいです。
また、同時に焼成温度や焼成雰囲気に、より変化し、同様に素地の影響が挙げられ複合的な溶化、融和作用に依るものであります。

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