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鶴田 純久の章 お話

大名物。唐物丸壺茶入。
原所持者は土田氏というがどのような人か詳かでないようです。
総体黒飴および薄紫の中に柿色がむらむらと現れ、裾近くまでなだれた置形の露先に青瑠璃色があるようで、景色が多く底が小さいため形状はすこぶる優美であります。
土田氏ののち石田三成、本多侯を経て松平不昧に入り、以来雲州家に伝来。
(『大正名器鑑』)

つちだまるつぼ 土田丸壺

唐物丸壺茶入。
大名物。
「土田」の名は当初の所持者の名によると思われるが定かでありません。
また『伏見屋手控名物録』によると、唐物黒葉入盆の裏に、土田織部の判があると記載されており、現在もその盆が添っていますが、これが古田との混同か、実際に土田織部なる人物がいたものか判然としません。
伝来は石田三成から本多侯を経て、文政(1818~30)の頃、松平不昧が購求したと記録されています。
不味は文政元年四月二十四日逝去されましたので、不味の茶器買い納めとなったものかもしれません。
甑は長く立ち上がって、胴の平丸みの姿がよく、丸壺形の標準形をなしています。
甑際三線めぐり、胴の半分ほどにかけて筋があります。
釉色も美しく、黒飴釉薄紫の中に柿色のむらむらが輪文状となり、近くまでの置形のなだれの先の露が青瑠璃色を呈し、見所となっています。
この置形に向かって左手に目のごとき釉抜けが二カ所あり、裾以下鼠色の土味もよく、底面もきわめて締まり、細い糸切中にひっつきがあります。
手取りが軽くて景色が多く、底が小さいので形状がすこぶる優美です。
【付属物】蓋―紹鷗好蓋箱桐白木、書付松平不昧筆 仕覆―四、鳥襷緞子・定家緞子・亀甲緞子・茶地梅花紋緞子(図版右より) 撹家仕覆―ふすべ革 唐物黒葉入盆底土田織部判盆箱 桐白木書付
【伝来】土田家―石田三成 本多家―松平不昧
【寸法】 高さ:6.9 口径:3.0 胴径:70.5 底径:2.6 重さ:60

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