色絵柳橋図水指

色絵柳橋図水指
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
色絵柳橋図水指
色絵柳橋図水指

Ninsei: water jar with bridge and willow design, enamelled wareHeight 14.8cm Yuki Museum of Art
高さ14.8cm 口径16.8cm 底径11.6cm
湯木美術館
 図19とほぼ同様の作行きであるが、胴の張りがやや強い。また口部から外側裾まわりにかけての白濁釉は 「色絵牡丹図水指」よりも薄く、貫入は細かい。口まわりには蓮弁文をめぐらし、そのまわりには黒釉を施している。肩から胸にかけては銀で垂幕のように源氏雲をあらわし、胴には赤と銀と金で橋をくっきりと描き、芽吹いた柳の樹を添えている。桃山時代以来、屏風などによくあらわされた柳橋の図をまるい水指の胴にあらわしたものだが、筆致はやや弱い。
 背面には波濤文があらわされ、その銀の上絵具は酸化して釉膚に黒く滲んでいる。内部に薄くかかった釉は兎斑状を呈し、裾から底にかけては土見せで、底の左側中央にくっきりと「仁清」の大印が捺され、底の浅い削り込みもすっきりと仕上がっている。
 内箱の蓋裏には、仁清が丸亀におもむいて制作し、京極家に伝来したものであると、岡山藩家老伊木三猿斎が書き付けているが、もちろんその間の消息は判然としない。おそらく他の茶壺などとともに、丸亀京極家の注文に応じたものなのであろう。

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