色絵楼閣人物登龍門図茶壺

色絵楼閣人物登龍門図茶壺
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Ninsei: tea jar with design of a pavilion with figures and a carpascending a waterfall, enamelled wereHeight 41.6cm
高さ41.6cm 口径11.9cm 胴径30.6cm 底径11.2cm
 仁清が残した十数点の色絵茶壺のなかでは、もっとも細密な絵文様をあらわした作例といえる。その姿が他に例を見ない卵形であるのも珍しい。口はまるく捻り返し、肩の四方に耳をつけ、口部から肩にかけては黒釉をかけて、肩まわりに源氏雲風にあらわし、また裾にも黒で雲形を配している。胴の一方には銀彩で大きく滝を描き、滝壺に鯉を描いたいわゆる登龍門の図で、左に三人の唐人物、右には松の樹などを配している。裏面は中国風の楼閣のなかで絵画を鑑賞する数人の唐人物、庭園には唐子が遊んでいる。また左側に松を配し、中央楼閣の縁先には牡丹の樹などもあしらっている。人物の風俗は中国明時代の風をあらわしたもののようであり、その筆致は明らかに狩野派のもので、おそらく狩野派の画家に下絵を依頼したものであろう。裾から高台にかけては土見せで、裾まわりの土は赤く焦げ、板起し風の平らな底の左方に仁清の大印が捺されているが、清の字の下半部はほとんど消えている。

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