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鶴田 純久の章 お話

大名物。漢作、鶴首茶入。
円座形で形は締まり、格好が優美で、釉質は精良で、しかも大佗び無類のものであります。
もと利休の珍蔵、松平上総介、幕府、島津家、幕府、酒井若狭守と転伝し、のち酒井家に入りました。
(『大正名器鑑』)

りきゅうつるくび 利休鶴首

漢作唐物茶入。
大名物。
利休が所持していたのでその名があります。
その後長く幕府の代物でしたが、文久元年十二月、酒井若狭守が京都所司代とし和宮御降家につき斡旋するところがあり、その功により家茂将軍より拝領したものです。
酒井若狭守は平常より茶器を最も愛し、幕府秘蔵の「青磁吉野山」の花入をも熱望していましたが、この縁につながり、同時に二つの名物を得て宿願の所願を果たしたといわれます。
姿は口造りが丸みをもち、捻り返しが浅く、鶴の首のごとく、まっすぐにのびた首の中ほどに、沈筋が半周しています。
釉は光沢のある渋柿色で、裾以下が赤みを帯びた色土がみえ、高低不同、その中に三ヵ所共色の釉なだれがあり、その一つは長く垂れて底際に達しています。
他の一筋は中ほどに露をとどめて置形となっています。
底には円座を付けていて、本糸切も整然としていますが、黒いしみ模様が三ヵ所にあります。
格好優美・釉質精良、しかも大佗び無類で、利休が珍重したことがうなずける茶入です。
『麟鳳亀龍』『名物記』などに記載。
【付属物】蓋三、利休好・古織好・遠州好 仕覆―三、日野間道・卍字緞子・白地一重蔓小牡丹紋古金襴(図版右より) 挽家―桜木、金粉文字家仕覆―有栖川裂道恵作黒漆四方盆 内箱 桐白木 外箱 黒塗面取、金粉文字 添状 徳川家より酒井若狭守あて
【伝来】 千利休―松平上総介―徳川家―島津家徳川吉宗 酒井若狭守忠義
【寸法】 高さ:7.0 口径:2.0 胴径:5.4 底径:3.5 高台 高さ:0.3 重さ:61

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