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鶴田 純久の章 お話

Seto ware: vase, ash glaze. 15th century. Height 25.5cm. Aichi Prefectural Ceramic Museum.
15世紀
高さ25.5cm 口径4.5cm 胴径17.0cm 底径11.0cm
愛知県陶磁資料館
 室町時代に新たに出現した古瀬戸子の一類であり、形態から推して漆器の瓶子を模したものでしょう。灰釉を施したものが多い室町中期以降、鉄釉を施したものも散見します。本器はこの種の瓶子の初期の作品で、15世紀初めごろの作と考えられます。黄白色の土を用いており、水挽き成形で、台脚を別々につくり接合しています。口頸部と肩の接合部に低い段を有します。文様は肩から胴にかけて三段に平行沈線文を施しています。袖はやや酸化気味の焼成で黄緑色を呈し、全面に厚くかけられていますが、下半は流条化しています。さらに肩から胸にかけ一箇所に鉄釉を流しかけていますが、光沢のある黒褐色を呈し、地の黄緑色と鮮やかな対比をみせていて、この瓶子をひときわ優れたものにしています。このような鉄釉の流しかけは前段階の南北朝ごろから室町初期にかけて行われた流行の一つですが、その意図は不明です。

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