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鶴田 純久の章 お話
瀬戸 灰釉画花文壺
瀬戸 灰釉画花文壺

Seto ware: jar with incised ornament, ash glaze. Discovered from under the Founder’s Monument at Kakuon-ji, Nikaido, Kamakura-shi, Kanagawa. 14th
神奈川県鎌倉市二階堂覚園寺開山塔下出土
14世紀
高さ27.7cm径14.2cm 胴径27.6cm 底径12.0cm
重要文化財
寬園寺
 覚園寺開山の心智海和尚の蔵骨表で、正慶元年(1332) 立れた宝篋印塔の下に安山岩を方形に組み合わせた石室があり、その中央の岩盤を掘りくぼめて、煮の底部がはめこまれていたといいます。
 心智の没年は嘉元四年(1306) ですから、この広口は14世紀初めごろのものと見做されます。
 この壺は直立する短い口頭部をもった広口で、肩が丸く張り出し、小さい底部にむけて腰がやや内反りにすぼんでいます。胴の中央に一条の突帯を絞らせますが、ここはぎの部分で、帯は肩の一部分をなしています。文様は描きで器面一杯にのびやかに草葉文を描いていますが、流麗な線で適度の余白を残しながら面に溢れんばかりの雄動きをみせています。よほどすぐれた工人の手になるものでしょう。灰釉は淡緑色の鮮やかな色調を呈し、この時期には珍しく釉むらのない安定した軸調をみせています。蓋は破砕していますが、共蓋で、上面に身と同様な草葉文が描かれています。この広口の形態はすでにいく人かの人によって南宋青磁酒会との類似が指摘され、その影響によって生じたものとされていますが、梅瓶・天目茶碗など数多くの器種の出現する鎌倉時代後期の古瀬戸を考える上にきわめて重要な資料です。

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