Seto ware: vase with incised ornament, ash glaze. Excavated at Saisuko, Kashima-machi, Ishikawa. 14th century. Height 26.7cm. Kashima Town
Office.
石川県鹿島郡中能登町最勝講二/91出土
14世紀
高さ26.7cm 口径4.75cm 胴径17.6cm 底径10.0cm
鹿島町役場
昭和三十三年十二月、耕地整理作業中、耕土下約50cmのところから、これと同形同大の瓶子と対をなして出土したもので、遺跡の格は明らかでありません。同地は邑知地溝帯の中央低地にあり、最勝講という地名から推して、祭祀集団を主体とした小集落であったかと考えられます。酒器として神に奉納した一対の瓶子でしょう。口頭部の突帯はシャープで丁寧なつくりです。は肩が張り底部に向かって細くなった形態や、文様が胴の中央から上半にのみ施されている点からみて、この種の梅瓶のうちでは早い時期のものと考えられます。文様は幅2mm の太い丸彫り手法で、一株の草華文を描いていすなわち、一株の根から左右に分かれた二葉を基にし、それから延びる憂の左右に、交互に葉を描いて器面を一絞りしており、十一葉をもって構成しています。灰釉は厚くたっぷりと施され、淡緑色の美しい色調を呈します。底は約5mmの薄いもので、一度破損してはずれたものを黒漆で接合しています。一回限りのものではなく、神器として永く使用に供されたものであろうことを示しています。