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鶴田 純久の章 お話
常滑 三筋壺
常滑 三筋壺

Tokoname ware: jar with three horizontal grooves. Excavated from Kamikurayama No. 2 Sutra Mound, Shingu-shi, Wakayama. 12th century. Height 25.7cm.
和歌山県新宮市神倉山第二経塚出土
12世紀
高さ25.7cm 口径11.1cm 胴径19.1cm 底径8.0cm
 広口壺の胴に三本の沈線をめぐらしたいわゆる三筋壺は常滑独特の製品であるかのようにいわれていますが、最近では各地の瓷器系中世窯において焼かれていることが明らかになってきています。その初現的なものは11世紀末の猿投窯にあり、常滑のそれはその広がりの一環として生まれたものです。この三筋壺はまだ胴に膨らみをもっていることや、胴の三筋文が明瞭な複線であることから、12世紀初めごろの作品と考えられます。素地はやや鉄分を含んだ緻密な土で、赤く発色しており、その上にかかった鮮緑色の灰釉と調和して見事な色調を呈しています。数多い常滑三筋壺のなかでも、優品の一つに数えることができましょう。

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