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鶴田 純久の章 お話
伊賀 甕
伊賀 甕

Iga ware: jar. Excavated from the cemetery at Butto-ji Temple, Ueno-shi, Mie. 13th century. Height 31.2cm. Butto-ji.
三重県伊賀市仏土寺境内出土
13世紀
高さ31.2cm 口径23.5cm 胴径32.2cm 底径16.0cm
仏土寺
 伊賀では滋賀県境にある鎌倉末以降の五位の木窯より古い窯はまだ発見されていません。にも拘らずこの甕を伊賀窯産と推定する根拠はその土味と成形技法にある。一見古常滑の甕を思わせるこの中形の甕はその口頸部の形状からみて常滑の影響下につくられたものであることは明らかです。長石の微粒子を含んだ鉄分の多い土で器面全体に鉄の小粒子が熔融して黒点を散らしたようにみえますが、伊賀地方から発見される古式の壺・甕にはこの手の土味のものが圧倒的に多いです。口縁部は折り返されてN字状を呈します。成形は七段のはぎづくりで、胴の中央部を上から麗でなでつけ、胴下半との継目の上に波状にかぶったように盛り上がった整形を行うのが、伊賀独特の手法です。非常によく焼き締められ、口縁から胴の半面に暗緑色の自然釉が被っています。現在知られる伊賀の甕として最も古いものの一つで、仏土寺の境内から出土したものである。

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