黒平茶碗 銘西湖 一入

楽焼, 焼き物, 陶磁器,
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鶴田 純久の章 お話

Ichinyu (Raku IV, 1640-96): shallow tea bowl, known as “Saiko”, Black Raku
Mouth diameter 12.9-13.6cm
高さ6.4cm 口径 12.9~13.6cm 高台径 5.1cm
 内箱蓋裏には「平茶碗 西湖 覚々斎 (花押)」 と覚々斎原叟が書巻き付けています。一入黒朱釉の茶碗を代表する名作であり、景色の鮮やかさは抜群です。平茶碗ですが、口造りや腰、高台 見込ど独特の手ぐせが十分に示され、まさに一入の典型作と称すべきものでしょう。
 やや内にかかえた口縁はわずかな起伏を見せ、胴も少し引き締まり、腰から高台際にかけての作行きも、一入らしい穏やかなまるみです。円形の高台も底の大きさに比して小振りに引き締まり、高台内に渦兜巾を削り出し、畳付には目跡が三つ残っています。見込は広く、中央に浅い茶溜りをつけています。釉がかりは総釉で、よく溶けた漆黒の釉中に朱斑が鮮やかにあらわれ、朱釉は内外ともに胴の上部は濃く、裾にかけては薄く消えています。おそらくたっぷりとした平茶碗の姿を中国の名勝西湖に因んで名づけたのでしょう。

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