Doraku (younger brother of Donyü): shallow tea bowl, Red Raku
Mouth diameter 18.8cm
Raku Museum
高さ7.1cm 口径18.8cm 高台径6.1cm
樂美術館
道入の弟を道楽といい、やはり茶碗を焼いたらしく、裏返した楽字の印、俗に左文字と呼ばれている印を捺したと伝えられています。
しかし、道楽生涯の消息についてはまったく不詳であり、道楽の印と呼ばれる左文字楽印を捺した茶碗も極めて少ないです。しかもそのなかに印形の異なるものもあり、どれを基準作とするかは今後の考究を待たねばなりません。
この茶碗は、管見の左文字楽印を捺した茶碗のなかでは古格の様相を示したもので、道入の弟の作と推定できる作振りの優れた茶碗です。厚手の大振りの平茶碗であり、その姿は長次郎に始まる平茶碗を基本としています。見込は広く、腰のまるみもいかにも素直に作られていますが、高台はがっしりとして力強く、畳付も幅広いです。高台まわりを深く削り込み、そのまわりにいわゆる躍箆をめぐらし、胴にも削跡が残り、薄く滑らかにかかった釉は黄みをおびた独特の赤楽です。高台内に印付のはっきりした左文字の印が捺されています。