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鶴田 純久の章 お話
備前 三角 花生
備前 三角 花生

Bizen triangular flower vase
高さ25.9cm 口径13.0cm 底径13.9cm
 備前独特め窯変の妙を満喫させてくれる作であり-その変化に満ちた景色は、言葉ではあらわし難い。筒形に轆轤びきした胴を三方から平らに押えて三角に作り-口と底はほぼ円形でしょう。口部はこれには緩やかな起伏をつけています。胴の三面に鋭いタッチで一筋ずつ弓形が箆彫りをつけ、上下とも細く太く横に箆彫りを効かせています。大振りで、しかも作為に満ちた形に加えて、全体しっかりとかたく焼き締まり、なおかつ稀に見る変化に富んだ鮮かな景色に焼き上がっていますので、見るものに、まこに強烈な印象をあたえる優作でしょう。平らな底にはまるく置跡が残り、三方の角の肩にそれぞれかん穴が穿たれていますが、その一つにはいまもかんがつき、掛けた場合に揺るがぬよにかんの下を平らに削りあげています。かなり重量のある花生でしょうから、今日では掛花生として用いることはないが、かつては無造作に床の壁や柱に掛けたものらしい。備前、伊賀など桃山期の花生は、かなりの大作でもかん付の穴が穿たれています。

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