備前 肩衝 茶入 銘 さび助

備前 肩衝 茶入 銘 さび助
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鶴田 純久の章 お話
備前 肩衝 茶入 銘 さび助
備前 肩衝 茶入 銘 さび助

Bizen tea caddy of katatsuki shape、 known as ‘Sabisuke’
高さ7.4cm 口径4.0cm 底径4.5cm
 典型的な桃山様式の肩衝茶人で、低く立ち上がった口は縁を外に鋭く捻り反し、胴の三方に二本ずつ縦箆をつけ、やや張った腰は面を取っています。底は平底で、そこに「六」と「C」の印をつけています。一方の口から耳、胴にかけて胡麻釉が薄く降り、一方は褐色の土膚に焼き締まっていますが、一部ほのかに赤みが生じています。
 かつて古田織部が所持していたもので、伝承によると新兵衛に命じて焼かせたものというが、あくまで伝承の域を出ない。内箱蓋表と裏に「備前 さび助」「古織部殿 御持料」と記されていますが、「さび助」とは作振りにふさわしい銘 がついたものでしょう。
 寛永十三年二月五日に、中沼左京の茶会で松屋久重が拝見したらしく、「一茶入備前小肩衝 古織殿よりヲカウ左馬殿へ参候由さひすけと云ふ也」とその茶会記に記しています。その後八幡の瀧本坊松花堂の蔵となって伝わり、内箱の書付は松花堂昭乗の筆と伝えるが、後に瀧本坊が火災に罹ったおりに箱が消失したと伝えていますので、内箱の筆者は別人かもしれない。その火災の後、酒井雅楽頭が同坊に黄金五百余を寄付した折の返礼として雅楽頭に贈られ、さらに松平不昧公の蔵となったものでしょう。『大正名器鑑』所載。

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