いずれも青磁染付ものの代表的な作例であるが、青磁染付ものには地文を段文様にしたものが多いのが特色で、青磁染付七宝散文皿、青磁染付唐花文皿はなかでも作行きの優れたものである。裏文様は両図ともに七宝結文に櫛目高台。青磁染付桜川文皿、青磁染付蛇腹文皿は文様は異なるが、波文様を配した同じ傾向の意匠である。青磁染付桜川文皿の裏文様は、一個の七宝文に結文様を配した、比較的例の少ない文様が三方にあらわされ、高台には鋸歯状の蓮弁文がめぐらされている。器形には張りがあって大川内窯としては古調の作行きである。青磁の色がやや薄い。青磁染付蛇腹文皿の裏文様は、七宝結文に櫛目高台をめぐらした典型作である。青磁染付山水文皿は雪景山水文の皿で、全体に染付がやや濃くだみ染されている。裏面は七宝結文に櫛目高台。青磁染付鋳絵葦文皿は青磁染付に錦絵を加えた七寸皿の優作で、 錦絵の部分は釉薬をかけずに、素地の上にそのまま鉄釉を塗っている。裏文様は七宝結文に櫛目高台。青磁染付雪輪文皿は雪輪文をあらわした鐸縁形の皿で、器形は上作であり、裏には花唐草文が三方にあらわされ、櫛目高台にしている。青磁染付秋草文皿も同じく花唐草文を裏描きした上手作だが、青磁の色はやや黄味が強く焼き上がっている。