芦屋釜。
端正な形姿の釜である。
口造りは低い甑口で、肩は一文字とし、上面を地にしている。
胴は八角で、各面には七宝繋ぎ文を細線で現わしている。
銀付は鬼面で、花の実摘みの唐金落込み蓋を載せている。
形の整美しい釜であるが、長く使用していたために底がいたんだので、下部をほどよく欠き、底を入れ、尾垂釜としている。
非常に大振りの釜であるが、形式・文様の表出からみて江戸時代初期の作と考えられる。
また鐶付が芦屋釜にみられる鬼面であるところから、芦屋系の釜と思われるが、筑前芦屋釜ではなく、越前でつくられたものであろう。
【寸法】 高さ:17.0 胴径:269 口径:12.7
【所蔵】東京国立博物館