東山時代の代表的な形として、のちに真の茶杓と称される長杓。
中心に高樋を置くのは時代の約束。
撓めはゆるく櫂先の露は尖りぎみで、品位ある相をなす。
筒は溝を正面に置いた総削りの筒で、面取りの上部に「メ珠徳作」、側面に「宗巴(花押)」と力強い書付。
珠徳は東山時代の茶杓削りの名人と伝えられ、珠光の茶の門下でひとかどの数寄者であったという。
『茶具備討集』に「昔、数寄者周徳所作之竹茶杓、当世翫之為三名物、揉竹有習、羽淵嘉広習伝、削竹茶杓、亦人之賞物也」とある。
『山上宗二記』に信長が千貫で「珠徳あさじ茶杓」を買い上げたとある。
【寸法】 茶杓―長さ20.5 筒長さ22.6
【所蔵】陽明文庫