清代。
名物裂。
雲州松平家の茶人の家を包む裂地の主たるものに、和蘭木綿・蜀・有栖川裂・いちご錦などがある。
特に不昧によって添えられたと推察できるのは和蘭木綿である。
この裂は東南アジアの絣の一種で、オランダ船により長崎へもたらされたので、この名が付けられたのであろう。
十八世紀末頃の断片が多く遺存し、いずれも粗い厚手の木綿のもつ風合いは、貴重な道具類を保護するにふさわしい機能性と感触をもっている。
和物茶入の家仕覆の裂として大切に扱われてきたようである。
紺地に白で絣紋を現わし、茶の細縞を二本一組として交差させ、交差した方形の部分を白で抜いている。