十七世紀。
名物裂。
地合いを白地とし、紋様を褐茶に織り出し、立涌紋で大きく全体の構成を決め、その空間に樹木を四方に立て、中央に花紋を置いて構図をつくり、花鳥を配して整然としたペルシア的意匠を現わしている。
立涌紋の要所要所にも花紋を付け、あたかも画然と整地された王宮庭園の感がする、見事な織技と意匠性に驚かされる。
十七世紀頃のペルシアあたりの織製になる風通であろう。
茶入の仕覆に用いられていたものを、破損が激しいために糸を解いて保存している。
金・銀糸の打ち込みはないが、モール織の典型的な草花紋がすばらしい。
中国風の立涌紋をとり入れて、完全に消化し卓越した感覚からくる芸術的な香りを感ぜしめる。