明代。
名物裂。
白茶地に角のある動物が花をくわえて土坡の上にうずくまつくりつち後ろを振り向いている模様を作土形にまとめている。
一列ごとに左右を向き単調に陥るのを防いでいるが、紋様と紋様の間隔は広くゆったりと空間を示し、明代中期頃の織製である。
中国では麒麟は霊獣とされ、空想上の動物であるが、その出現は聖天子の世に現われる前兆であると伝えられている。
一般には頭部に角を有し、火焰に囲まれ天空を駆ける姿に描かれているが、この名物裂では花紋と組み合わされ、優美な表現をとっている。
同手の裂に雲麒麟や花兎などがあるが、紋様の配置や作土形は大鶏頭金襴に似ている。
【所蔵】東京国立博物館