祥啓筆。
折枝画風の鉤勒塡彩画法による花鳥図で、祥啓が京都にあって相府御倉の中国画、同朋衆の手になる画本をもとに制作したものと思われる。
祥啓は字を賢江、貧楽斎と号し、鎌倉建長寺宝珠庵に住した禅僧で、書記役についていたところから「啓書記」と呼ばれている。
文明十年(1478)上洛、芸阿弥について画本を学ぶかたわら、足利幕府所蔵の唐絵に接し、鎌倉を中心とした関東画壇に与えた影響は大きい。
山水画中にあって時に点景として、また自然の中にあって真性の一端を内存する象徴的存在として花鳥画が画かれ、禅家にあって尊 重さ:れたのである。
【寸法】画面 縦82.2 横32.7
【所蔵】京都国立博物館