可翁筆。
蜆子和尚は中国の伝説上の人物で、日々を水辺で過ごし、蝦やしじみを食べて生きていたといわれている。
禅宗では、自らの修行によって悟道に至ることを本来の姿としているところから、礼拝の対象としての偶像をもたず、その教えは師から弟子へと伝えられる。
したがって禅林間では、達磨をはじめとする祖師像が大切にされる一方、独自の方法で悟りを開いた祖師たちの伝説が、道釈人物画として成立する。
可翁は十四世紀前半に登場した禅林所縁水墨画家で、その清爽孤高の画風から判断して、東福寺の可翁宗然(1345~寂)に擬せられている。
【寸法】画面縦86.6 横31.5
【所蔵】東京国立博物館