伝周文筆。
室町時代盛期の山水画の筆者は、後世一様に周文画として扱わしょうけいれている場合が多く、本図の場合も同様である。
本図の画は相国寺系の画僧のそれを思わせ、周文流の山水画の中ではむしろ松谿画に似た特色をみせている。
画面のなかばをしめる上部の空間は、澄み切った秋の気配を示し、紅葉した樹木とともに本図の画麺を支えている。
応永・永享期の周文流の高遠山水は、嘉吉・文安期には平遠的要素を加えつつ細密な写実的表現に移行していく。
そそり立つ遠山・近景の岩・楼屋・石橋流水・樹木が組み合わされ、概念的な理想郷を出現させている。
【寸法】 全体 縦193.0 横36.5 画面一縦105.0 横35.0