高さ9.3cm 口径18.1×21.8cm 丸底
湯木美術館
長次郎焼と伝えられる素焼の灰器がかなり数多く伝世しています。
長次郎作であることを明確に物語る資料はありませんが、箱書付には多く「長次郎」と記しています。素焼のいわゆる土器に近い性質のもので、その器形は南蛮甕の蓋と呼ばれているものとよく似ており、おそらく南蛮甕の蓋を基本に灰器として作られたものと思われます。作振りは共通しており、外側に叩文をめぐらしたものがほとんどです。
底は丸底。図99の作品はかつて松平不昧公が所持していたもので、内箱蓋表に「長次郎 秋 灰入」と記されています。図100は同じく長次郎作と伝えられている灰器で、内箱蓋裏に「むかし ほう路く覚々斎(花押)」と覚々斎原叟が書き付けています。いずれも灰器のなかでは優れた作品です。