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小堀遠州 茶杓 共筒 歌銘青苔

八幡名物

茶杓
櫂先折り撓めで、節へかけて前へ彎曲せる線で、腰強い感じがする。
竹質は青苔の銘を思わせるよう、十分斑文が上端から節まで流れ、節のあたり虫喰あって景色満点といってよい。


総皮削ぎで、正面面取して「メ滝本御房(ムシ)茶床下 宗甫子」側面から背面へかけていっぱいに、次の文を書き詰める。
伊勢物かたりにはあおきこけをきざみてとあり 竹をきさんておかしく あかねとも竹にそかふるいろ見えぬ こころを見せむよしのなけれは 一軸の御礼申あらはしかたきまま

付属物
替筒 書付「(花押) 小堀遠州作 青苔」
内箱 桐 白木 書付 松花堂昭乗筆 「小遠州茶杓 青苔」
外箱 杉 白木 書付「青苔」
同蓋裏 書付「従小遠州雄徳山昭乗へ被贈茶匙与 滝本坊什物之内也 箱蓋おもて小遠州茶杓青苔 松花堂尊師真蹟」
添状 滝本喜坊より矢倉九右衛門あて

追記
伊勢物語の七十八段に、右大将藤原常行が山科の宮なる法親王に、紀の国千里の浜にあった庭石を奉った時に、人々歌を詠ませられ、右馬頭それがしが、青苔をきざんだ蒔絵のかたに、
あかねども岩にぞかふる色見えぬ 心を見せむよしのなければ
と書きつけた。歌意は「この岩をさし上げたくらいでは満足できないから、せめてわが心のいろを苔にきざんでお見せ申す」である。
遠州は松花堂に一軸をもらった。その礼に伊勢物語の青き苔をきざんだことを洒落て、自ら竹をきざみ茶杓を返礼したのである。

所載
滝本坊名物記(遠州青苔茶杓 以下略)
矢倉蔵帳(青苔 小堀宗甫作従 八幡滝本坊伝来也)
茶杓三百選

寸法
茶杓
長サ18.1cm
幅0.4―0.9cm
厚サ0.3cm

長サ22.1cm
径2.4cm

所蔵者
東京 畠山記念館

添状 滝本喜坊より矢倉九右衛門あて

讓状之事
遠州公作歌入
一茶杓 銘 青苔
箱書附猩々翁
右者当院代々所蔵申茶杓而候
処、御懇望二付、今般相談申所
実正ニ御座候。右御礼金七拾五両
御寄附被成、慥二致入手候。然ル上ハ
右茶杓ニ付、他の故障之筋申もの
一切無御座候。万一左様申族有之候いい、
拙僧罷出取捌可致候。為後証
譲り状仍而如件。
譲り主滝本坊(印)
文化二年 丑七月 証人 喜多坊(印)
矢倉九右ヱ門殿江

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