
伝来
藤田家
寸法
高サ4.0cm
口径3.9―4.5cm
胴径4.9―5.8cm
底径2.7―3.7cm
重サ50g
この香合は、交趾香合において、ことに黄釉のさえた色が鑑賞に値する。かつ青釉が蟹の甲を色どって、手中の玉のように愛らしい点が、この香合の愛玩されるところであろうか。
小判といえばわが国古来の通宝で、だれしもよろこぶ形であるが、この香合も、蟹が玉をいだく姿を小判型にまとめたところは意匠的に見てまことに賞賛に値する。もともと小判は日本のものであるが、この偶然の出会いは、茶席の興趣をます一因となったであろう。
ときに、この香合もまた小堀遠州時代の注文品と見る向きがあるが、それは間違いであろう。すでに形物香合番付では、上段に位させており、ふるく舶載されたことを証明している。
筆者も、二個しか同型を一見していない。一個は大阪の地にあって藤田家に蔵されたもの、他の同型の一個は井上侯爵家伝来のものであった。

交趾蕗台 釉彩いろいろあり 参考品



