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佐竹文琳

佐竹文琳(さたけぶんりん)

中国製 所蔵:神戸 田村市郎氏

名称の由来
秋田城主の佐竹侯爵家に伝わった文琳茶入であるため。

寸法(1寸≒3.03cm、1匁≒3.75gで換算)
高さ:約6.30cm(2寸8厘)
胴径:約6.48cm(2寸1分4厘)
口径:約2.42cm(8分)
底径:約2.73cm(9分)
甑(こしき)の高さ:約0.91cm(3分)
肩幅:約0.61cm(2分)
重量:約68.6g(18匁3分)

附属品
・蓋:1枚(窠:くぼみあり)
・包み物:紫色の袱紗
・仕覆(袋):2つ
紹鴎繻子(裏は海気、紐は御納戸色)
龍紋繻子(裏は玉虫色の甲斐絹、紐は紫色)
・袋箱:白木の桐製
「佐竹文琳替袋 二
紹鴎繻子
龍紋繻子」
「佐竹文琳」と記載。
・挽家(ひきや:茶入を収める筒):真塗り
袋は揉み革、紐は茶色。
・箱:桐の溜塗(透き漆塗り)、金粉の書き付けあり
「佐竹文琳」

伝来
秋田城主である佐竹家の宝物でしたが、大正6年(1917年)11月5日の同家蔵品入札の際に、現在の所持者が落札しました。

実見記(実際に見た記録)
大正10年(1921年)5月19日、神戸市奥平野の田村市郎氏邸において実際に拝見しました。
口は引き締まって縁が丸く、甑(首)の下が張っています。肩の先に筋模様があり、胴から下はロクロ目が細かく回っています。腰が張っており、裾から下は鼠色の土を見せています。土の上にロクロ目が段をなしており、糸切りは荒く、起点に食い違いがあり、底の縁は少しすり減っています。
全体的に黄色い釉薬と飴色の釉薬が入り混じっており、置形(正面)の肩の先から、黄色い釉薬の中に青みを帯びた釉薬がひと筋、腰の辺りまで流れ落ちて止まっています。その釉薬の溜まった黒飴色の光沢が見事です。肩の下には飛雲のように黄色い釉薬が抜けた(掛かっていない)箇所が2点あり、また胴の辺りにも同じように火間(釉薬が掛からず土が露出した部分)が1点あります。
全体的に光沢が美しく、容姿が優れており、他に類を見ないほど精巧な作りです。内部は口の縁に釉薬が掛かっており、それ以下はロクロ目が細かく回って、底の中央は渦巻き状になっています。

【原文】

佐竹文琳

唐物 神戸 田村市郎氏 藏

名稱
秋田城主佐竹侯家に傳はりたる文琳茶入なり。

寸法
高 貳寸八厘
胴徑 貳寸壹分四厘
口徑 八分
底徑 九分
甑高 參分
肩幅 貳分
重量 拾八匁參分

附属物
一 蓋 一枚 窠
一 包物 紫袱紗
一 袋 二ッ
紹鴎純子 裏海氣 緒つがり御納戸
龍紋純子 裏玉虫 緒つがり紫
一 袋箱 桐 白木
佐竹文琳替帒 二
紹鴎純子
龍紋純子
一 挽家 眞塗
袋 もみ革 緒茶
一 箱 桐 溜塗 書付金粉
佐竹文琳

傳來
秋田城主佐竹家の什物にして、大正六年十一月五日同家藏器入札の際、現所持者に落札せり。

實見記
大正十年五月十九日、神戸市奥平野田村市郎氏邸に於て實見す。
口締り縁丸く、甑下張り、肩先に筋模様あり、胴以下轆轤細かく繞り、腰張り、裾以下鼠色土を見せ、土の上に轆轤段を成し糸切荒く、起點に喰違ひあり、底縁少しく磨れたり。總體黄釉飴色と錯綜して、置形肩先より黄釉中に青味を帶びたる一ナダレ腰の邊に至りて止まる、其釉溜黒飴光澤美事なり、肩下に飛雲の如き黄釉ヌケ二點あり、又胴の邊に同火間一點あり。總體光澤麗しく、容姿優れて、精作無比なり、内部口縁釉掛り、以下轆轤細かく繞り、底中央渦状を成す。

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