青磁天目 銘 満月

鶴田 純久
鶴田 純久

付属物
天目台 堆朱 菊牡丹文輪花形
天目台箱 桐白木書付了々斎筆
伝来 井上世外
所載 大正名器鑑
寸法 高さ:6.3cm 口径:12.4cm 高台径:3.4cm 同高さ:0.8cm 重さ:210g
所蔵者 大阪藤田美術館

 青磁天目という名称は、学術上では用いられません。天目形の青磁茶碗は存在しないからです。にもかかわらずこれを天目と称したのは、高台が、あたかも建蓋のそれのように小さくしまって、天目形に近いと目されたからでしょう。と同時に、満月という銘が示すとおり、この世にもゆたかな円満具足の姿は、茶碗の王者、即ち天目であるべきと見て、この聖称を贈ったのでしょう。
 窯は浙江の竜泉窯。造られた時期は、青磁焼成の技術が完成した北宋の末近くでしょう。純白の磁土を速い轆轤でひいて薄い碗体をつくり、外側に箆をいれて、三十本の蓮弁しのぎをつけます。これほどに狂いのない鋭い彫りは、膨大な量の竜泉青磁の中でも、恐らく比類を見ないでしょう。そして全面に粉青色の青磁釉をたっぷりとかけ、高台の裾だけ削りを加えて土見としたものです。釉は二重、三重にかけられたため、色合い濃く深みを増しよく溜まったところは正に玉を想わせる景色となっています。

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