長闇堂記 ちょうあんどうき

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鶴田 純久の章 お話

奈良春日大社の社人久保権太夫利世の記録。
一巻。
佗び茶人としての彼の一種の自叙伝。
寛永一七年(1640)の奥書があります。
利休流の茶の流行や山上宗二・古田織部・金森可重・小堀遠州その他の茶の実際と逸話などを記してすこぶる貴重であります。
もと遠州や松花堂の消息紙背に書かれ、元文年間(1736I四一)道具屋の手で分散売却されたのを愉々斎楽只が再拾編纂したもので、諸種の異本があります。
『茶道古典全集』第三巻所収。
権太夫は若年から茶道に執心し、そのかたわら袋物を仕事として特に遠州から愛顧を受けたらしいです。
東大寺俊乗上人の方七尺の影堂を引いて住居とし茶を楽しみましたので、遠州から鴨長明に比されて長闇堂の名をもらいました。
江月和尚からもこの堂の詩歌を与えられています。
1640年(寛永一七)6月28日没。
奈良興福院の蔵に遠州自筆の「悼久保翁の記」があります。

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