弥生式時代中期末から後期にかけての土製品。
岡山県を中心とした中国・四国地方および近畿地方に及ぶ範囲で見出されます。
直径10cm内外、厚さ1cm内外の円板の両側を弧形に切り取った形状、つまり近世の分銅の形を呈するのでこの名称があります。
ただし山口県下の出土例は逆凸字形を呈しますが、やはり分銅形土製品の一種であります。
分銅形土製品の頭部は胴部に比べて多少とも大きくつくってあります。
表裏の別があるようで、表面には櫛描きその他の手法で顔面を表現したものが多いようです。
分布の中心地域では抽象的に、周辺地域では具体的に表現する傾向かあります。
頭部上端にそって穿孔を連ねているのは羽毛などを植え込むためと解釈されています。
分銅形土製品は呪術的な機能をもった製品、例えば護符のような用途をもったものと考えられます。
その点て縄文式時代の土偶との関連も説かれています。
特に西日本の土偶にはちょうど分銅型を呈するものもあるのでこの解釈は合理的であるかにみえます。
しかし分銅型の土偶は頭を省略した土偶であって、分銅形土製品の頭部に当たる部分が胸部に相当しますので、両者はI応無関係とみるべきであります。
(近藤義郎「分銅形土製品」『古代学研究』六)