石膏でつくった重要な成形用の型。
まず粘土・石膏または油土で所要の原型をつくり、次いで鉢に水を盛りこれに焼石膏を散布して石膏泥をつくり、これを原型の上に流し硬化するのを待って原型から取りはずせば、一個の石膏型を得ます。
これを母型といいます。
この場合原型の形状によっては二個またはそれ以上に区分して型取りをします。
母型を再び石膏で型取りすれば原型と等しい石膏型が得られます。
これを元型といいます。
石膏型の上に石膏泥を流す時はその間にカリ石鹸の溶液またはオリーブ油の煮沸したものなどの離隔剤を塗布し、石膏と石膏との結着を防ぎます。
このようにしてつくられた型は使用の目的・方法により数種に区分されます。
観櫨型・起こし型・鋳込型の三種であります。
【輔櫨型】機械轆轤に使用する型で大小・深浅・円形または楕円形があります。
琥轜頭に石膏型を載せ、型上に担練した粘土を押し付け、型板支持機の箆を下げて所要の厚さまでに粘土を掻きならし、その後に継櫨頭より型を取り離してしばらく放置すれば、石膏は水を吸って粘土は型から離れます。
「起こし型」動力を使用しない場合に用い、その形状・種類はすこぶる多く、主に円形ではないようです。
起こし型には撫で出し型と攻め型の二種があります。
粘土を所要の厚さの平板に切りこれを型の上に載せ、布片または海綿を湿らせてその上から撫でて等しく型に付着させる方法に用いる型を俗に撫で出し型といいます。
また両面型を用い、中に粘土を入れて両面から等しく圧力を加えてつくる方法があるようで、これに用いる型を攻め型といいます。
「鋳込型」これには種々の形状があるといっても主に中型のものが多く、また皿の類をも鋳込むことがあります。
この型は石膏の吸水作用を応用したもので、泥漿を型の内部に注入しますと、石膏に付着した部分は水分を吸収され粘土が石膏面に付着しますので、一定の時間を経て所要の厚さになった時泥漿を流出させ、しばらくこれを放置すれば、表面が乾燥し粘土と石膏とが離れ所要の器物がつくられます。
これと同じ原理によって石膏型を泥漿に浸漬して器形を得る方法もあります。