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鶴田 純久の章 お話

描用具の一種。
その構造は、柿渋を引いた繊維の強い紙で錐状の袋をつくり、これに真録の嘴口を付け、泥漿を袋中に満たし金属の爽搾子で閉じてあります。
袋を指で圧して泥漿を嘴口から押し出し高盛りの線などを描きます。
イッチンは初め染め物で使われていたもので、江戸時代から陶器の文様を描くのにも利用され、明治以来の輸出磁器にも用いられました。
これと似たものに竹筒に注嘴を付けて白泥漿を入れ、黒素地の上に文字などを走描する方法があり、丹波国(兵庫県)の立杭あたりに筒描きといわれて古くからみられます。
最近では洗眼用のスポイトなどを利用する方法もあります。
これらの装飾手法をイッチン盛り・イッチン掛け・イッチン細工などといいます。
イッチンの語の由来は明らかでありませんが、一説に久隅守景の別号一陳斎から出たといわれます。
守景は古九谷に下絵を付けていたが友禅などにも関係したとのことで、初めてイッチンを用いて染糊線を染め抜いましました。

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