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鶴田 純久の章 お話

Kenzan: tea bowl with yari-ume design, enamelled wareMouth diameter 9.9~10.1cm
高さ7.3cm 口径9.9~10.1cm 高台径5.2cm
 滝山水茶碗の強くしかも幽玄の詩情豊かな画賛とは一転して 紅白の梅花が咲きにおう梅林のさまを、優しくやわらかく意匠化して描いていますが、おそらく乾山焼としては初期の作でしょう。
 口縁と梅の幹や枝は鉄絵具の下絵、白泥の花と呉須で点じたも下絵付し、透明釉をかけて本焼した上に赤と緑と黄で花や枝、蕊を上絵付しています。下絵と上絵の用法に乾山独特の工夫があり、雅味のある絵文様になっています。釉膚には俗に御本と呼ばれる淡紅色の斑文が生じ、いちだんとやわらかみのある質感をもたらしています。
 単純な半筒形で、輪高台が低く削り出され、土見せになっている高台の横に 「乾山」 の二字が鉄絵具で釉下に書されています。胎土は、おそらく乾山自筆の陶法伝書 『陶工必用』に記されている京都黒谷の土を用いた、彼のいう 「五器手土」 でしょうが、乾山焼茶碗のなかではもっともやわらかみのある土味です。

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