Small jars and stem plate. Excavated from Sanage Ceramic Kiln, Aichi. 8-9th century. Height of vase of two handles 6.4cm. Aichi PrefecturalCeramic Museum.
愛知県猿投窯出土
8~9世紀
(双耳小瓶)高さ6.4cm 口径2.0cm 胴径4.6cm 底径2.5cm
愛知県陶磁資料館
ここに掲げたものは、いずれも高さ5~6cmの小形模造仮器です。奥の高杯と鉢は鳴海32号窯出土品で、8世紀後半にぞくし、猿投窯において灰釉陶器の発生した初期のものです。この二点は無釉。左の蓋付小壺と長頸瓶は8世紀後半の黒笹40号窯出土品で無釉。
他の四点は黒笹7号窯出土品で、いずれも灰釉が施されています。8世紀後半代にぞくします。猿投窯ではとくに8世紀後半から9世紀前半にかけて、このような小形品が多数つくられています。いずれも水挽き轆轤成形で、大形実用品とまったく同一の作風を示しています。
とくに黒笹7号窯の作品は白素地の精巧なものが多く、淡緑色の灰釉が施されていて、他窯のものと区別し易い特色をもっています。同窯の製品である小形双耳瓶が岡山県笠岡市大飛島の祭祀遺跡から、また小形横瓶が奈良市興福寺一乗院跡から出土しています。両遺跡とも三彩 緑釉陶器を多数出土しており、それらと伴出していることからみて、祭祀用具として用いられたことが知られます。とくに奈良時代後半から平安時代初期に集中する傾向のあることは、彩釉陶器のあり方と関連して興味深いものがあります。