Bizen ｎｏtch･shaped water jar with two handles- known as ‘Yabureya’
通蓋高20.8cm 身高20.4cm 口外径20.5cm 左右26.3cm 底径20.5cm
備前焼の水指は数多く伝世していますが、これほど土浦の柔らかく焼き締まった作は他に見ない。ずっぽりと水に濡らすと鮮かな赤みを見せ、斜めに生じた灰黒色のこげ膚との対照が美しい。姿も矢筈口水指のなかでは大振りで、しかも堂々としています。口はかなり強い角度で内にすぼまった矢筈口で、一部山割れが生じたあとを砕き落としたらしく、欠失しています。左右につけた大きな耳も、器形によく調和しています。胴には轆轤目がめぐり-横に六筋と縦に三筋の箆目が施され、底は平底で中央が少し持ち上がり、そこに「干」の窯印が箆彫りされています。備前の矢筈口水指のなかでは初期のものではないでしょうか。共蓋が添っています。
かつて数々の名器を蔵していた平瀬家の伝来で、口部の欠失に囚んで「破家」と名付けられています。
