明代。
名物裂。
南蛮貿易によってわが国にもたらされた裂で、占城に似た縞柄である。
鹿比丹・甲必丹などとも書くが、ポルトガル語の Capitâno(Eng. Captain)に因んだ名称であり、長崎出島の商館長や外国船の船長をさしたことばが、彼らの輸入した裂の名にすり替わってしまったのであろう。縞柄の組み合わせも占城と同様であるが、地は経に絹糸、緯に綿糸を使用している点が異なっている。
紫の太縞を黄と藍の細縞で囲み、黄と紫の補色関係のコントラストの効果をねらい、さらに紫の中心に白の経糸を通している。
紫と赤の太縞は、明暗の効果による視覚的な浮き沈みの効果を試みている。
なおインドベンガル地方の弁柄縞・今照気などと同じ織法。