呉春筆。
梶の葉とは、昔、七枚の梶の葉に詩歌を書き、織女星に捧げたもので、七夕の祭りに短冊を竹葉に結ぶ風習の源流と伝えられている。
呉春(1752~1811)は、四条派の創始者で、姓は松村、月溪と号した画人である。
ここでは扇面に梶の葉をかたどり、草汁で彩色した上に芋の葉の露で磨った墨を用いて、『奥の細道』の一句を選び、「ふみ月や六日も常の夜には似ずこれははせを翁の風流也 いもの葉の露を硯にうけて月溪書」と記している。
地紙に金泥を刷いて銀河としたのは、呉春の弟子岡本豊彦である。
呉春の摂津池田時代の文人的洒脱趣味による作品。
【寸法】 画面 縦30.0 横51.0