伝牧谿筆。
重文
濃淡の水墨による六顆の柿が無造作に並列され、背景はまったくない。
描写は決して写実的ではないが、柿らしさというか、柿の精とでもいうべきものを、これほど端的に表出し得た作品もない。
万人が一見して柿とわかる本質的なものを、単純明快に表わしている。
『天王寺屋会記』元亀二年(1571)二月二十四日の条にのる、京都新在家の茶匠曲庵(養花)が所持していた牧谿筆の「栗柿ノ絵」双幅の一幅に相当するので「栗絵」(599~頁下)とともに大徳寺龍光院に現存する。
花卉雑画図巻の一部が切りとられて表装されたものと想定される。
【寸法】画面 縦35.0 横29.0
【所蔵】大徳寺龍光院