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鶴田 純久の章 お話

名物手
付属物 挽家 黒偉人塗 被服 浅黄地笹づくり純子
伝来 金地院―平野遠江守―福地山城主朽木氏―静嘉堂
所載 大正名器鑑
寸法
高さ:9.1cm 口径:一五cm 高台径:5.6cm 同高さ:1.3cm 重さ:436g
所蔵者 東京静嘉堂

 京都南禅寺の塔頭、金地院の崇伝が所持していたのでこの名があります。いつか平野遠江守から、福知山城主の朽木氏に伝わり、静嘉堂岩崎家の有に帰しました。
 やおらかなカーヴをえがいて内へすぼまってゆく椀なりで、かっきりとした高台ぎわの切りこみから、丈の高い竹の節高台が切っ立っています。典型的な名物手井戸の姿で、形体・釉調ともに細川井戸に近い作といえましょう。高台脇の削りが鋭いですわりに、かいらぎの出様はあらくれておらず、志野の薬溜りのような、うるおいのある風情を見せます。やや青みがかった枇杷色の釉面に細かな貫入がむらなくわたって、しっとりと落ち着いた肌合いです。
 井戸茶碗というものは古来最も珍重された茶碗であるにかかわらず、わりと傷けの多いもので、この茶碗にもロ縁に三か所つくろいがあります。土と釉のなじみが余りよくないために、僅かの衝撃にも釉がめくれやすいからなのでしょう。

金地院井戸 こんちいんいど

井戸茶碗。
名物。名物手。
柔らかなカーブを描いて内へすぼまっていく椀形で、かっきりした高台際の切込みから丈の高い竹の節高台が切り立っています。
高台脇の削りが鋭いですわりに、かいらぎの出様は荒くれず、志野の釉溜り風な潤いがあります。
やや青みがかった枇杷色の釉面に細かな貫入がむらなくわたって、落ち着いた肌合いです。
口縁に三ヵ所繕いがあります。
金地院の什物であったのでこの名があります。
《付属物》挽家-黒偉入塗 被覆-浅葱地笹づくり緞手
《伝来》金地院-平野遠江守-福知山城主朽木侯-岩崎家
《寸法》高さ9.1 口径15.6 高台径5.6 同高さ1.3 重さ426
《所蔵》静嘉堂

金地院井戸 こんちいんいど

名物。朝鮮茶碗、名物手井戸。もと京都金地院(臨済宗南禅寺の塔頭)の什物であったことからこの名がある。『古今名物類聚』に収録された時には平野遠江守の所持であった。その後福知山城主朽木侯に伝わり、維新後岩崎家の有となった。(『大正名器鑑』)

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