伝紀貫之筆。
第一種。
重文。
『古今集』巻一断簡。
現存する『古今集』写本中最古の遺品である。
後冷泉天皇(在位一〇四568)の御代の最高の能書家の手になるもので、三人の筆者による寄合書であるが、第一種は巻1.巻9.巻二十を担当している。
とりわけ巻一巻頭部分は古筆切中の王座をしめるもので、平安朝仮名文字の最盛期を代表する最も優美にして華麗なる名筆である。
格調高く気品に満ちた書写形式と、下膨れの横へのひろがりをもった堂々たる巻頭は、おおらかな空間を構成している。
また墨つぎの自然なリズムや運筆の流麗さは、見事な調和をなしている。
【寸法】本紙 縦26.0 横40.9
【所蔵】五島美術館